10月8日
森 崇
ハイテク株がしっかりで、ナスダック指数は小幅続伸。ダウ指数とS&P500指数は小幅安。コロンブスデーの祝日で米国債市場が休場となったことから、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の出来高概算は8億5100万株にとどまり、今年一番の薄商いとなった。
(ナスダック指数が続伸の背景)
@週明けのアジア株相場は上昇し、指標のモルガン・スタンレー・キャピタル・
インターナショナル(MSCI)アジア太平洋(日本除く)指数は過去最高値
に達した。先週発表された9月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数が予想を
上回る伸びになったのを受け、米国のリセッション(景気後退)入り懸念が弱
まった。
A9月の雇用統計で雇用者の伸びが予想を上回ったことから、景気先行きへの自
信が出てきた。また、メリルリンチ、ワシントン・ミューチャル、シティグル
ープは、サブプライム住宅ローン問題悪化後、早々と決算への影響度を公表し
ている。これによって、金融市場の混乱が収束に向かっているとの楽観的見方
が広がりつつある。利下げ観測は低下したが、景気への自信から、サブプライ
ム住宅ローン問題とあまり関係のない景気敏感株であるハイテク業種が物色さ
れた。
(その他指数が下落した背景)
@ドル反発し、ドル安ヘッジ的側面から買われた感のある商品相場が総じて安か
った。景気減速で金属やエネルギーの需要が落ち込むとの懸念も根強く、鉱山
株や石油株が売られた。とりわけ石油大手のオキシデンタル・ペトロリアムが
急落。フリードマン・ビリングズ・ラムジーが株式投資判断を引き下げたこと
が売りにつながった。
Aメリル・リンチ株安が尾を引いた。これが他の証券株、金融株に波及。
JPモルガン・チェースとクレディ・スイスは、メリルリンチの株式投資判断
を「中立」に引き下げた。また今年と来年の通期利益見通しも下方修正した。
一方、サンフォードCバーンスティーンはメリルの利益見通しを引き下げたも
のの、株式投資判断は「アウトパフォーム」で据え置いた。JPモルガンは、
メリルの債券事業の回復は難しいだろう。新たな債券事業部門の責任者がリス
ク投資を削減し、今後数四半期のリターンが減少する可能性があるとした。
Bトラックリース事業大手のライダー・システムは需要減退を理由に7−9
月(第3四半期)利益見通しを下方修正。株価はほぼ3年ぶりの大幅な値下が
りとなった。需要が著しく軟化したのは景気悪化が背景としている。
ダウ指数は前日比22.28ドル安の14,043.73ドル、S&P500指数は同5.01ポイント安の1,552.58、ナスダック指数は同7.05ポイント高の2,787.37で引けた。

(米国株相場にとっての強材料)
1.バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNI)
資産家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェ
イは、米鉄道会社2位のバーリントン・ノーザン・サンタフェ株を6080万株
まで買い増した。
2.米投資会社のブラックストーン・グループとアポロ・マネジメントが先週、
財政難に陥った英住宅金融会社ノーザン・ロック買収に関心を示したと、本
日付WSJ紙が報じた。これに先立ち米投資会社JCフラワーズ、サーベラ
ス・キャピタル・マネジメントも、ノーザン・ロックや同社のアドバイザー
と詳しい条件などを協議したと言う。ノーザン・ロックは、同社買収に関心
のある企業を資金面で協力するため、シティグループと融資に関する契約を
まとめた。融資規模は100億ポンドに達する可能性もあるという。
3.リーマン・ブラザーズ(LEH)
クレディ・スイス・グループは、リーマン・ブラザーズの株式投資判断を
「ニュートラル(中立)」から「アウトパフォーム」に引き上げた。85−90
ドルまで上昇する可能性があると指摘。住宅ローン事業の緩やかな回復を想
定し、今年のリーマンの1株当たり利益を7.80ドル、来年は同8.05ドルと予
想している。
4.フランス銀行(中央銀行)によると、米国のサブプライム住宅ローン問題が
フランスの信用市場に及ぼした影響は最小限にとどまった。同行の調査担当
副責任者ロバート・オフェレ氏は8日、金利上昇は緩やかな信用収縮につな
がり、比較的規模の大きい企業が影響を受けたと指摘。その上で、フランス
企業が受けた影響はほかのユーロ加盟国の企業よりも小さかったとの見方を
示した。
5.AKスチール・ホールディング(AKS)
米鉄鋼3位のAKスチール・ホールディングは退職者の医療制度について、
オハイオ州で起こされた訴訟で和解が成立したほか、医療厚生のための信託
基金設立に6億6300万ドルを支払うと発表した。
6.ボネージュ・ホールディングス(VG)
インターネット電話を手がけるボネージュは米電話大手スプリント・ネクス
テル(S)との間で争っていた特許侵害訴訟で、8000万ドルを支払って和解した。
ボネージュは先月、2件の特許侵害訴訟で敗訴している。
7.ヤム・ブランズ(YUM)
リーマン・ブラザーズはKFCやピザ・ハットなどのレストランチェーンを
展開するヤム・ブランズの目標株価を16%引き上げ、37ドルに設定した。
8.米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは8日、メキシコの長期外貨
建て債務格付けを「BBB」から「BBB+」に引き上げた。同国で先月、
徴税強化法案が通過したのが格上げの理由。更に、長期自国通貨建て信用格
付けを「A」から「A+」に引き上げた。
(米国株相場にとっての弱材料)
1.アルコア(AA US)
世界2位のアルミニウム会社、アルコアは、使途を特定しない経営上の一般
的な用途向けとして32億5000万ドルの信用枠を獲得したことを明らかにし
た。シティ・インベストメント・リサーチは買収資金を用意している可能性
があるとコメント。
2.フリーポート・マクモラン(FCX)
最近の銅価格上昇で、中国が買いを手控えるかもしれないとの観測が高まっ
ている。
3.エクスペディア(EXPE)
世界最大のオンライン旅行代理店である同社株の投資判断が引き下げられた。
シティ・インベストメント・リサーチが“買い”から“保有”へ。
4.ライダー・システムズ(R)
トラック・リース会社が業績発表。予想を下回る内容だった。景気悪化の影
響をこうむった形となった。
5.メリル・リンチ(MER)
メリルリンチは5日、7―9月期(第3四半期)の最終損益が赤字に転落し
たもようと発表。
(要旨)
★住宅ローンや資産担保証券(ABS)、レバレッジドローン(高リスク・
高利回りローン)で50億ドル近い過去最大の評価損を計上する結果、1株
当たり50セントの赤字となる。
★10−12月期(第4四半期)の収入は予想するのが依然として難しい。
★サブプライム住宅ローンと債務担保証券(CDO)での評価損は、ヘッジ
取引による利益を差し引いたベースで45億ドルとなった。信用スプレッド
の過去に例を見ない動きと、第3四半期に強まった関連証券市場での流動
性不足が背景。
★投機的等級の融資による損失は9億6700万ドル、引き受け手数料を含むベ
ースでは4億6300万ドルとなった。
これを受け、JPモルガン・チェースとクレディ・スイスは、メリルリンチ
の株式投資判断を「中立」に引き下げた。また今年と来年の通期利益見通し
も下方修正した。一方、サンフォードCバーンスティーンはメリルの利益見
通しを引き下げたものの、株式投資判断は「アウトパフォーム」で据え置い
た。JPモルガンは、メリルの債券事業の回復は難しいだろう。新たな債券
事業部門の責任者がリスク投資を削減し、今後数四半期のリターンが減少す
る可能性があるとした。また、メリルの07年度通期の1株利益見通しを6.05
ドルと、従来見通しの7.67ドルから下方修正した。08年通期については10
セント下方修正し8.15ドルとした。クレディ・スイスは、メリルの07年度
通期の利益見通しを5.85ドルと従来見通しの7.90ドルから引き下げ、08年
度についても1ドル下方修正し7.85ドルとした。サンフォードCバーンステ
ィーンは、メリルの07年度通期の1株利益見通しを5.67ドルと従来予想の
7.66ドルから引き下げ、08年度については1.81ドル引き下げて8.10ドルとし
た。またメリルの株価目標を15ドル引き下げ100ドルとした。
6.クライスラーと全米自動車労組(UAW)との労働協約交渉は9日に期限を
迎え、それまでに合意に至らない場合、UAWはストライキも辞さない構え
であることが8日、明らかになった。
7.@ドイツのグロス経済技術相は8日、以下の通りコメントした。
(要旨)
★原則として、ドルの下落は不安をもたらしている。特にこれ以上の値下が
りは不安をさらに強める。
Aドイツのシュタインブルック財務相は8日、以下の通りコメント。
(要旨)
★対ドルで最高値を記録したユーロ高を懸念していない。強いユーロを好む。
8.国際通貨基金(IMF)のラト専務理事は 8日、以下の通り発言した。
(要旨)
★貿易加重平均の見地に立てば、ドルは等価を下回っている。ただし、判断
は、投資家や買い手、売り手によってなされる。
個別銘柄編
投資判断変更
1.リーマン・ブラザーズ(LEH)
CSFBが、同社の投資判断を“中立”から“アウトパフォーム”に引き
上げた。
2.KLA・テンコア(KLAC)
ワコビアが、同社の投資判断を“アウトパフォーム”から“マーケットパ
フォーム”に引き下げた。また、同社の目標価格を40ドルとした。
3.オキシデンタル・ペトロ (OXY)
フリードマン・ビリングスが、同社の投資判断を“マーケットパフォー
ム”から“アンダーパフォーム”に引き下げた。また、同社の目標価格を
51ドルから56ドルへ引き下げた。
4.メルリ・リンチ (MER)
CSFBが、同社の投資判断を“アウトパフォーム”から“中立”に引き
下げた。また、また、同社の目標価格を95ドルから85ドルへ引き下げた。
5.プロクター&ギャンブル (PG)
サン・トラスト・ロビンソン・ハンプレイが、同社の投資判断を“買い”
から“中立”に引き下げた。
6.ボストン・プロパテイズ (BXP)
ドイチェ・セキュリテイが、が、同社の投資判断を“買い”から“中立”
に引き下げた。また、同社の目標価格を110ドルとした。
価格目標変更
1.ヤム・ブランドズ(YUM)
リーマン・ブラザーズが、同社の目標価格を32ドルから37ドルへ引き上
げた。また、投資判断は“イコールウエイト”とした。
2.ワシントン・ムーチュアル (WM)
リーマン・ブラザーズが、同社の目標価格を55ドルから45ドルへ引き下
げた。また、投資判断は“オーバーウエイト”とした。
3.スター・バックス (SBUX)
リーマン・ブラザーズが、同社の目標価格を40ドルから37ドルへ引き下
げた。また、投資判断は“オーバーウエイト”とした。
4.マクドナルド (MCD)
リーマン・ブラザーズが、同社の目標価格を59ドルから66ドルへ引き上
げた。また、投資判断は“オーバーウエイト”とした。
5.ブロードコム (BRCM)
リーマン・ブラザーズが、同社の目標価格を37ドルから39ドルへ引き上
げた。また、投資判断は“オーバーウエイト”とした。
6.ティファニー (TIF)
ベア・スターンズが、同社の目標価格を72ドルから75ドルへ引き上
げた。また、投資判断は“アウトパフォーム”とした。
=以上=
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