8月10日
森 崇
続落したものの、下落幅は引けにかけて縮小した。S&P500は小幅上昇。海外市場下落とサブプライムローン損失懸念を嫌気した。
(背景)
@サブプライムローン関連
米住宅金融最大手カントリーワイド・フィナンシャル(CFC)は、住宅ローン市場の前例のない混乱が、同社の融資能力と利益を損なう可能性があるとの見方を示した。流通市場と資金流動性の状況が急速に変化しており、同社への潜在的な影響は不透明で、この状況は続くか、もしくは将来悪化する恐れがあるとした。同業のホームバンクはデラウェア州の破産裁判所に会社更生手続き適用を申請した。また、ドイツ銀行の投資信託部門はファンドの一つの運用資産額が7月末から30%減少したことを明らかにした。サブプライムに関連した投資は一切無いが、投資家の資金引き揚げと資産価値低下が響いた。
一方で、明るい兆しもある。欧州中央銀行やニューヨーク連銀は連日で資金供給を実施、オーストラリア準備銀行や日銀も緊急の資金供給を行うなど、金融逼迫解消に世界的な協調姿勢が見られる。オーストリア金融当局は同国の投資ファンドはサブプライムローンの影響をほとんど受けていないことを明らかにしている。サブプライムローン懸念をめぐり不透明感が高まる中、メリルリンチが発表したレポートによると、トレーダーの間では来週にも緊急連邦公開市場委員会が開催され、利下げが決定されるとの観測が一部で流れている。このほか、米証券取引委員会がゴールドマンサックスとメリルリンチを手始めにウォール街の大手金融機関を、サブプライムローンで損失を隠していないかどうか検査をすると報じられた。
Aエヌビディア(NVDA)
第3四半期の売上の伸び率見通しが市場予想を下回った。メリルリンチは「買い」→「中立」に格下げ。スティフィルニコラスは「中立」→「売り」に格下げ。短期的な期待が行き過ぎであると指摘した。
B米国株式に弱気の見方が出た
著名投資家のマーク・ファーバー氏は(1987年のブラックマンデーの1週間前に、米国株から手を引くよう投資家に推奨したことでも知られている)、米国株式は弱気相場の開始時点であり、株価指数は3割以上下落する可能性があると指摘した。サブプライムローン関連の損失問題は抑制されておらず、また、簡単には解決できないとした。NYダウで12000ドルを下回ると予測している。
CM&Aの縮小懸念
オランダの銀行ABNアムロの株価が10日、下落した。ABNアムロをめぐり、英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ連合と買収合戦を繰り広げている英銀バークレイズが買収提案を撤回するとの観測が出た。
ダウ指数は前日比31.14ドル安の13,239.54ドル、S&P500指数は同0.55ポイント高の1,453.64、ナスダック指数は同11.60ポイント安の2,544.89で引けた。
(米国株相場にとっての強材料)
1.アクレジット・ホーム・レンダー(LEND)
サブプライムモーゲージの、アクレジット・ホーム・レンダーが、上昇。プ
ライベート・エクイティーのローン・スターファンドが、同社のローンを引
き受けることで、承認を受けたことが背景。
2.アクスカン・ファーマ(AXCA)
胃腸薬メーカー、アクスカン・ファーマが、2007年通期売上高が、3億4,300
万ドルになる見通しであると発表した。これは、市場予想最大3億2,000万
ドルを上回ったことから、同社株が上昇した。
3.ブラッドリー・ファーマスーティカル(BDY)
製薬会社、ブラッドリー・ファーマスーティカルに身売りの噂が出た。詳細
当は明らかになっていないが、事情に詳しい筋の情報として、同社が買収案
を受けたと報じた。
4.レイバー・レディー(LRW)
マトリックスが、人材派遣会社、レイバー・レディーの投資判断を“保有”
から、“買い”に引き上げた。
(米国株相場にとっての弱材料)
1.カントリーワイド・ファイナンシャル(CFC)
WSJが同社が、住宅ローン大手、カントリーワイド・ファイナンシャルが、
提出書類の中で、“債務、住宅ローン市場が困惑する状態にある。それによ
り、金融環境に大きな打撃を与える可能性がある。”と報告したと報じた。
これを嫌気して、同社株が売られた。
2.エヌビディア(NVDA)
メリル・リンチが、コンピューターゲームチップ、エヌビディアを“買い”
から“中立”に引き下げた。
3.51ジョブス(JOBS)
中国の人材紹介会社、51ジョブスが、第2四半期のEPSが、0.07ドルになっ
たと発表した。これが、市場予想0.14ドルを下回ったことから、同社株が売
られた。
4.カリフォルニア・ピザ(CPKI)
ピザレストランチェーン、カリフォルニア・ピザが、第3四半期のEPSが
0.04ドルになるとの見通しを明らかにした。これが、市場予想0.25ドルを下
回ったことから、同社株が売られた。
5.アムウォース・モーゲージ・アセット(ANH)
不動産担保証券、アムウォース・モーゲージ・アセットが、保有証券のほと
んどを、ベルベデラ・トラストに売却する可能性があると発表した。これを
嫌気して、同社株が売られた。
6.ブルックス・オートメーション(BRKS)
マイクロチップ製造業者用機器メーカー、ブルックス・オートメーションが、
第4四半期の売上高が、1億7,000万ドルになるとの見通しを発表した。これ
が市場予想1億8,850万ドルを下回ったことから、同社株が売られた。
7.ディレクテッド・エレクトロニクス(DEIX)
自動車用電子機器販売、ディレクテッド・エレクトロニクス、2007年通期売
上高が、4億1,500万ドル〜4億4,400万ドルになる見通しであると発表した。
これが市場予想4億4,600万ドルを上回ったことから売られた。
8.ナショナル・シネメディア(NCMI)
映画館への広告提供会社、ナショナル・シネメディアが、第2四半期の売上
高が、8,370万ドルとなったと発表した。これが市場予想、8,640万ドルを下
回ったことから同社株が売られた。
9.ライムライト・ネットワークス(LLNW)
ウェブ関連メーカー、ライムライト・ネットワークスにネガティブ材料。ゴ
ールドマン・ザックスが、同社株の投資判断を“買い”から“中立”に引き
下げた。
個別銘柄編
投資判断変更
1.エヌビディア (NVDA)
BMOキャピタル・マーケットスが、同社の投資判断を“マーケットパフォ
ーム”から“アウトパフォーム”に引き上げた。また、株価の目標価格を58
ドルとした。
2.ノーブル・コープ (NE)
CSFBが、同社の投資判断を“中立”から“アウトパフォーム”に引き上
げた。また、株価の目標価格を129ドルとした。
3.エヌビディア (NVDA)
スティフル・ニコラスが、同社の投資判断を“保有” から“売り”に
引き上げた。
4.IBM (IBM)
マトリックスUSAが、同社の投資判断を“保有” から“買い”に
引き上げた。
価格目標変更
1.エヌビディア (NVDA)
ニードハム&カンパニーが、が、株価の目標価格を43ドルから50ドルへ引
き上げた。また、同社の投資判断は“買い”で据え置いた。
=以上=



