2008年06月18日

反落。

米国株相場レポート 

6月 17日

森  崇

反落。


(背景)
1.米住宅指標や鉱工業生産指数の軟調な数字を受けて、景気先行き懸念が高まった。

2.金融株に悪材料が出た。
@ゴールドマンは17日、米銀は貸倒損失や資産評価損は2009年1−3月(第1四半期)まで続くため、今後さらに650億ドルの増資が必要となる可能性があると指摘。米銀は必要な増資の3分の2を終えただけだとの見方を示し、金融機関のこれまでの増資は損失を埋めただけとしている。信用市場の環境を悪化させる住宅価格下落は今年いっぱい続き、銀行株の幅広い上昇は向こう数カ月には望みにくいとした。損失に備えた引き当てのピークは09年初めになるだろうとコメント。

Aアメリカン・エキスプレス(AXP)
フリードマン・ビリングス・ラムジーが、アメックスの投資判断を「アンダーパフォーム」で据え置いた。消費者信用が今年、引き続き悪化するとの懸念が背景。

B米銀行持ち株会社のザイオンズ・バンコープは8年ぶりの大幅安。不良債権からの損失が拡大すると予想したことに加え、ゴールドマンが地銀について慎重な姿勢を維持したことが背景。


ダウ指数は前日比108.78ドル安の12,160.30ドル、S&P500指数は同9.21ポイント安の1,350.93、ナスダック指数は同17.05ポイント安の2,457.73で引けた。

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(米国株相場にとっての強材料)
1.ゴールドマン・ザックス(GS)
ゴールドマンが17日発表した2008年3−5月(第2四半期)決算は、前年同期比で11%の減益となった。減益幅は市場予想よりも小幅にとどまった。第2四半期の評価損と信用損失は7億7500万ドル(約840億円)。この影響で、債券事業の収入は29%減となった。普通株の年間ROE(株主資本利益率)は20.4%。前四半期は14.8%、前年同期は26.7%だった。

第2四半期(3−5月期)実績
 ○総収入…94億2,200万ドル(87億4,635万ドル)
 ○1株当たり利益…4.58ドル(コンセンサス予想は3.42ドル)

2.チキータ・ブランズ・インターナショナル(CQB)
食品大手のチキータ・ブランズ・インターナショナルは7―9月(第3四半期)の損益が「前年同期と同程度」の赤字になるとの見方を示した。16日は「大幅な赤字」になるとの見通しを示していた。

3.CMEグループ(CME)
世界最大手の先物取引所、CMEグループは16日、米司法省からニューヨーク商業取引所(NYMEX)買収の認可を受けたと発表した。シティグループはCMEの投資判断を「ホールド」から「買い」へ引き上げた。


(米国株相場にとっての弱材料)
1.5月の鉱工業生産指数は前月比0.2%低下(前月0.7%低下)し、予想(0.1%上昇)に反して低下した。5月の鉱工業設備稼働率は79.4%(前月は79.6%に修正)と、ハリケーン「カトリーナ」が襲来した2005年9月以来の低い水準だった。

  (内訳)
製造業は前月比変わらず(前月は0.9%の低下)った。自動車を除く製造業は0.2%低下(前月0.4%低下)した。消費財の生産は0.2%低下。 一方、自動車・同部品は1%上昇と、昨年11月以来で初のプラスとなった。鉱業は0.1%上昇と前月の0.6%低下からプラスに転じた。公益事業は1.8%低下した。

2.5月の生産者物価指数(PPI)全完成品は前月比1.4%上昇(前月は0.2%上昇)と、予想(1%上昇)を上回った。これは、昨年11月以来で最大の伸び。食品とエネルギー価格を除いたコア指数は0.2%上昇でエ予想と一致。前月の0.4%上昇からは伸びが鈍化した。

  (内訳)
5月の食品価格は前月比0.8%上昇(前月横ばい)。ガソリン価格は前月比9.3%上昇と、昨年11月以来で最大。ディーゼル油と天然ガスはそれぞれ前月比11.2%と5.7%の上昇だった。

3.5月の住宅着工件数は前月比3.3%減の97万5000戸(前月は100万8000戸)と、予想(98万戸)を下回った。これは、過去17年間で最低水準。5月の住宅着工許可件数は1.3%減の年率96万9000件。予想は96万件だった。

4.リーマン・ブラザーズ(LEH)
オッペンハイマーのメレディス・ホイットニー氏はリーマン・ブラザーズの利益見通しを引き下げた。オッペンハイマーのほかメリルリンチやバンク・オブ・アメリカのアナリストもリーマンの利益見通しを下方修正した。大規模な経費削減を実施しない限り、株主資本利益率(ROE)目標を達成できないことが背景。ホイットニー氏は2009年のリーマンの1株当たり利益見通しを1.80ドルと40%引き下げ、同社の経費増大は収入の伸びを上回っていると述べた。メリルのモスコウスキー氏は同30%引き下げて3.46ドル、バンカメのアナリスト、マイケル・ヘクト氏は6%下方修正して1株当たり利益見通しを3.25ドルとした。

5.セントルイス連銀のプール前総裁は17日、以下の通り発言。

  (発言要旨)
★エネルギー価格高騰を背景にしたインフレスパイラルを回避するため、FOMCは利上げを実施すべきだ。
★インフレ期待が賃金上昇につながるのをFOMCは回避すべきだ。いったんインフレ期待が賃金上昇圧力を高め始めると手の施しようがなくなり、消費者物価を抑制するのが困難になる。

6.ベスト・バイ(BBY)
米家電量販大手のベスト・バイが17日寄り前業績発表。2008年3月−5月(第1四半期)の売上高は89億9000万ドル、純利益は1億7900万ドル(1株当たり43セント)となった。予想は、売上高が85億6300万ドル、一株当たり利益が37セントだった。戻し減税(税還付)が販売に寄与し、薄型テレビの販売が好調だった。ベスト・バイは採算性を優先した店舗レイアウトを採用し、収益性の高い地域に店舗を増設した。ただし、2009年度通期ベースのガイダンスを据え置いた。売上高が430億ドル〜440億ドル、一株当たり利益が3.25ドル〜3.40ドルになると言う。第1四半期が予想を上回ったが、通期で据え置いたことから、今後の収益減速予想が嫌気された。予想は、売上高が441億3200万ドル、一株当たり利益が3.25ドルだった。

7.金融機関が証券化して投資家に売却したモーゲージ資産が、各社のバランスシートに戻ってくる可能性があるとWSJ紙が報じた。米財務会計基準審議会(FASB)が先週提案した会計規則の変更で、金融機関はこうした資産を再び自社のバランスシートに戻すことを迫られる恐れがあると言う。金融機関が証券化のための特別会社を一部保有していることが背景。リーマンは16日、3−5月期に1500億ドル近くの資産を売却した。しかし、リーマンは2003−07年に7000億ドル超の資産を証券化しており、BSに戻す分が、仮に証券化したうちの20%だとしても最近の資産圧縮分は飲み込まれてしまうと指摘した。

8.ワシントン・ポスト紙とABCニュースが合同で実施した世論調査(12〜15日実施)によると、今年11月の大統領選で、民主党候補指名が確定しているバラク・オバマ上院議員に投票すると回答したのは有権者の49%で、共和党候補に確定しているジョン・マケイン上院議員の45%をわずかに上回った。不人気な現政権の存在がマケイン氏の挙戦に不利に働いていることをうかがわせた。

9.ゴールドマンは17日、米銀は貸倒損失や資産評価損は2009年1−3月(第1四半期)まで続くため、今後さらに650億ドルの増資が必要となる可能性があると指摘。米銀は必要な増資の3分の2を終えただけだとの見方を示し、金融機関のこれまでの増資は損失を埋めただけとしている。信用市場の環境を悪化させる住宅価格下落は今年いっぱい続き、銀行株の幅広い上昇は向こう数カ月には望みにくいとした。損失に備えた引き当てのピークは09年初めになるだろうとコメント。

10.ウォルマート(WMT)
小売り最大手のウォルマート・ストアーズは17日、2009年1月通期の設備投資計画を130億−140億ドルと発表。昨年10月時の135億―152億ドルから減額した。米国内での店舗拡大ペース減速に伴う措置。また、通期で店舗面積を前年比5−6%拡大する方針。昨年は同7.7%の拡大だった。

11.OPECのハティビ理事(イラン代表)は17日、サウジアラビアはほかのOPEC加盟国に協議せずに増産を実施すべきではないと述べた。サウジアラビアが単独で増産に踏み切れば、それは不正行為となると警告した。イランはOPECで第2位の産油国。同1位のサウジは5月、日量30万バレルの増産計画を発表。原油価格が最高値圏にある中、6月中にも追加の増産計画を発表する可能性がある。

12.アメリカン・エキスプレス(AXP)
フリードマン・ビリングス・ラムジーが、アメックスの投資判断を「アンダーパフォーム」で据え置いた。消費者信用が今年、引き続き悪化するとの懸念が背景。

13.センテックス(CTX)
センテックスなど住宅建設株に売りが膨らんだ。5月の住宅着工件数が軟調だったことが背景。


個別銘柄編
投資判断変更
1. ワイス(WYE)
リィーリンク・スワンが、同社の投資判断を“マーケットパフォーム”から“アウトパフォーム”に引き上げた。


個別銘柄編 
価格目標変更
1. BMC・ソフトウエア(BMC)
UBSが、投資判断を“アウトパフォーム”に新規格付けした。


2.ベリサイン (VRSN)
オッぺンヘイマーが、同社の目標価格を42ドルから46ドルへ引き上げた。また、投資判断は“アウトパフォーム”とした。





=以上= 
posted by mori at 08:55 | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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